税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

1.調査官が減価償却費を否認するって言う

くらくらするほど眩しい一日でした。

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調査立会いの朝。

「くらら先生、緊張してます?」と事務所の後輩。

「ぜーんぜん!慣れてるから」

 

・・・ウソです。・・・少し緊張。

公認会計士の登録をして1年、税理士登録も先月しました。

今回、初めて一人で調査に立会うのです。

 

黒のスーツで来たけど、これ着るの監査法人の面接以来?・・・かな。

あの時泊まった神田のカプセルホテルまで思い出す。

あーあ、嫌な記憶。

わたしのイメージじゃないよね。

社長の奥さんもそんな目で見てる。

 

おや、奥さんの表情が硬い。

奥さん、経理担当役員なんだから、今日は頑張りましようね。

(わたしもガンバる!)

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

ネイビー色のリュック背負ってる。税務署の人には珍しい。

ポーター? 黒じゃない色あるんだ。

でもカジュアルすぎないし、結構いい感じ。

 

元気よさそうな彼、私よりちょっと上くらいかな。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「去年買ったトラックの耐用年数、違ってました。

償却超過額がでます。

私のミスです」

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「そう。減価償却計算の明細表を見せて」

 

・・・数分後

「確かに、年数違っているね。

ところで、前からあるトラック、償却してないね。赤字決算で今期しなかったんだっけ」

 

「そうです。減価償却するか、しないかは、任意ですよね。

社長了解で、今期はしませんでした」

 

「これだと、増差*1はないね。

減価償却計算は同種グループのプール計算なんだよね。

 

つまりは、償却超過額と不足額は通算して計算するということ。

通算したら、当社は超過額より不足額が大きいよ」

「・・・」 

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

  

*1:増差~調査で所得(利益)金額が増えること。たんに非違がでることを指す場合もある。

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★