税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

7.調査官が交際費を否認するって言う

今日の調査立会いは医療法人。病院です。

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 院長とうちの所長は、落語愛好会のお仲間。

会といっても、噺家さんを囲んでの飲み会が中心で、それが一番の目的らしい。

 

院長は落研出身で、名は『眠亭家土左衛門』だって。(ねむていやどざえもん)

学生寮の湯船で寝込んでしまい、漂う長い髪と肥満の姿が、水死体に見えたらしい。

・・・何かおぞましい光景ですね。

 

今でも色白ポッチャリ体型・・・トトロのようです。

こういう先生だと、患者も何となく安心するんだろうね。

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

溌剌とした調査官。

結婚してる。名刺交換のとき、リングがピカッと光ったわ。

それってカルティエでしょ?

 

国税OBの所長が言うには、

「現職のときは気がつかなかったけど、税理士は調査に立ち会うと、調査官をいろいろ観察してしまう。

つまんないことまでも」

 

ほんとだ。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「交際費の期末資本金の考え方に誤りがあって、交際費の限度超過となります。

 

調査官の指摘はこうです。

資本金としていた金額は基金の額で、法人税法上の資本金の額ではない。

当法人は資本を有しない法人に該当する。

交際費の定額控除限度額計算においては、資本を有しない法人の期末資本金の額は、総資産から総負債を引いた額による。

当法人のその金額は1億円を超えているので、定額控除はできない。

交際費の全額が損金不算入となる

私のミスです」f:id:rarara0001:20190908115212j:plain

 

「確かに、新しい医療法人には出資持分はないね。

公益性がある医療法人が、企業のように出資配当できるのはおかしいとして、制度が変わったんだ。10年も前だけど。

 

決算書を見せてごらん。

・・・

 

おや、これだと結果的には問題ないね。

総資産から総負債を引いた額は確かに1億円超だけど、

期末資本金とされるのは、その金額の60%なんだ。

6掛けしたら1億円以下になるから、定額控除で交際費は全額損金算入だね」

「・・・・」

「 調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

  

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