今日の調査立会いは医療法人。病院です。
院長とうちの所長は、落語愛好会のお仲間。
会といっても、噺家さんを囲んでの飲み会が中心で、それが一番の目的らしい。
院長は落研出身で、名は『眠亭家土左衛門』だって。(ねむていやどざえもん)
学生寮の湯船で寝込んでしまい、漂う長い髪と肥満の姿が、水死体に見えたらしい。
・・・何かおぞましい光景ですね。
今でも色白ポッチャリ体型・・・トトロのようです。
こういう先生だと、患者も何となく安心するんだろうね。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
溌剌とした調査官。
結婚してる。名刺交換のとき、リングがピカッと光ったわ。
それってカルティエでしょ?
国税OBの所長が言うには、
「現職のときは気がつかなかったけど、税理士は調査に立ち会うと、調査官をいろいろ観察してしまう。
つまんないことまでも」
ほんとだ。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「交際費の期末資本金の考え方に誤りがあって、交際費の限度超過となります。
調査官の指摘はこうです。
『 資本金としていた金額は基金の額で、法人税法上の資本金の額ではない。
当法人は資本を有しない法人に該当する。
交際費の定額控除限度額計算においては、資本を有しない法人の期末資本金の額は、総資産から総負債を引いた額による。
当法人のその金額は1億円を超えているので、定額控除はできない。
交際費の全額が損金不算入となる』
私のミスです」
「確かに、新しい医療法人には出資持分はないね。
公益性がある医療法人が、企業のように出資配当できるのはおかしいとして、制度が変わったんだ。10年も前だけど。
決算書を見せてごらん。
・・・
おや、これだと結果的には問題ないね。
総資産から総負債を引いた額は確かに1億円超だけど、
期末資本金とされるのは、その金額の60%なんだ。
6掛けしたら1億円以下になるから、定額控除で交際費は全額損金算入だね」
「・・・・」
「 調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」