税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

8.調査官が通勤手当を否認するって言う

今日の調査立会いは、弁当製造販売の会社。

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 ご夫婦二人で始めたお弁当屋さんは、今では従業員100名を超すほどの会社。

近場の事業所や施設に、昼食の宅配をしている。

 

「先生、いつもご利用有難うございます」

社長は、会えば必ずお礼を言ってくれるけど、私はキホン、マイ弁当派。

せいぜい月1回しか利用しない。

それを知ってても、心から感謝って感じで頭を下げてくれる。

ほんと恐縮します。

 

でも、ここの工場に来ると、再放送で見た『OUT』*1をつい思い出してしまう。

私は影響を受けやすく、ひきずるタイプなんだよねー。

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

若い調査官。

聞き慣れないイントネーション。

もしかして名古屋。

味噌カツ、ひつまぶし、タモリの悪口、そのくらいかなー、知ってるの。

先週ご馳走に呼ばれて飲んだの、名古屋の日本酒らしい。

変わった名前で何とか....九平次

いつもはサワーくらいしか飲まないワタシだけど、白ワインのような香りと味わい。こういうのもイイかもね。

 ・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

通勤手当の非課税限度額計算が違ってました。 

 

調査官の指摘はこうです。

自動車通勤の人は、通勤距離により非課税限度額が決まっているので、

公共交通機関を利用したときの運賃相当額を通勤手当として支給すると、

非課税限度額を超える場合がある。

再計算のうえ限度を超える金額については給与課税しなければならない。

給与となるので、この分の通勤手当は、消費税の課税仕入れはできない

 

従来の基準のまま通勤手当を支給していたのを見落としていました。 

私のミスです」

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通勤手当は平成24年1月以降分から取り扱いが変わったね。大きな法人でも見直し忘れがあると聞いている。

 

ただ、消費税の取り扱いは違うよ。

通勤に通常必要であると認められる部分は、非課税限度額を超えて給与課税となっても、課税仕入れができるんだ。

会社が課税仕入れになる定期券を買って通勤者に交付するのと同じという理屈なんだね」

「・・・・」

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

*1:桐野夏生原作のテレビドラマで弁当工場を舞台にしたホラーミステリー

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★