今日の調査立会いは、新興のハウスメーカーです。
お値段が少し高いので、ちょっとリッチなお客さんが中心です。
シャープな外観に大きな窓、デザインが売りだけど、この層を微妙にクスぐる手法が巧みですね。
たとえば、完成見学会は紹介客のみに限定したりしてね。
ショールームの家具をカンディハウスで揃えるところも、いいセンいってるなーと思いますね。
少し高いけど、手が出ないわけではない。
そのセンスが、この客層に受けるんだろうなー。
社員はみんな、接客業のような感じのひとばかりだし、ガテン系のようなひといないもの。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
特官チームの4人です。
研修中の新人もいるそうだけど、ちょっと多くない?
経理の人も戸惑ってる。何かあったのかと不安そう。
「人数が多いので、効率よく調査を行なって、早く終わりたいと考えています」
特官も気を使ってくれてるんですね。
最近、新人が多いと聞いてるけど、同行研修も大変だよね。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「寄附金の否認です。
調査官の指摘はこうです。
『 当社が支払っている、関係法人であるB社の事務所家賃は、当社が負担すべき費用ではないので、B社への寄附金となる。
当社とB社は、完全支配関係がある法人なので、その全額が損金不算入となる』
B社は立ち上げたばかりの法人なので、当社が資金面を含めて支援していたのは事実です。
適切な税務処理の指導ができていませんでした。
私のミスです」
「他の法人の費用を負担していたとすれば、特別な理由がない限り、寄附金と認定されてもやむを得ません。
100%グループ内の寄附金については、特別な取扱いもありますね。
グループの出資関係図を見せて下さい」
・・・数分後
「当社とB社は、オーナー個人が100%の株式を所有しているんだね。
ということは、個人による完全支配関係なので、寄附金についてはグループ法人税制の適用はないね。
グループ法人税制が適用になるのは、法人による完全支配関係がある場合だけなんだ。
つまりは、全額損金不算入ではなく、通常の損金算入限度額の計算を行うことになるんだよ。
所得が大きいので、限度額計算しても超過額はでないから、増差はないね」
「・・・・」
「調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」