今日の調査立会いはウェブサイトの運営会社。
バイト求人などの人材系サイトがメインです。
もともと情報システム学科の仲間が集まって始めた会社で、今でも大学のサークルのような雰囲気です。
社長もゾゾの前澤さんのような感じだし。
「くらら先生。『FGO』やってる?」
うーん・・・忙しくて、なかなか時間がね。
「先生がハマりそうなゲーム教えてあげますか?美肌にもいいやつ」
美肌?ウソでしよ?
相変わらず、調子がいいというか、元気ですね。
・・・いいことです。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
何だかオタクっぽい調査官。
目を落として会話してるし。
社長にゲーマーとゲームオタクの違いを語りはじめた。
だから自分はゲーマーなんだって。
おや、最初と違う。表情も明るくなって、イキイキしてきた。
やっぱりオタクなのかな。
でもこういうヒト、結構やり手なことが多いんだってね。
しっかり対応しなければ。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「非常勤の監査役の給与は事前確定給与届出が出ていないので、損金にならないと言われました。
調査官の指摘はこうです。
『 役員に対して給与を年1回支給する場合は、税務署に前もって「事前確定届出給与」の届出をしなければ損金になりません。
貴社は非常勤の監査役に対して年1回給与を支給していますが、この届出をしていません。
よって、この給与は、損金にできません。』
「役員給与の支給状況を確認していませんでした。
私のミスです」
「役員の給与は、毎月同額の支給でなければ損金にならないのが基本です。いわゆる定期同額給与というものです。
ですから、夏冬などの役員賞与は、損金にならないことになります。
ただこの場合「事前確定届出給与」の届出書を提出していれば、損金にできる制度があります。
非常勤の役員などに年1回所定の時期に支給するようなものも、同様ですね」
「それは・・・基本的なことですから、理解してます」
「・・・ところで、そもそもこの法人は同族会社だったっけ?」
「あれっ...そうでした。
大学仲間が皆んなで出資して作った会社で、非同族でした」
「であれば、税務署への届出なしで損金になります。「事前確定届出給与」が必要なのは同族会社の場合です。
要するに、定期給与を支給しない非常勤役員に対して、たとえば12月の年1回給与を支払う定めがあるような場合、非同族会社であれば、問題はないということです。
中小企業は同族会社が多いので、つい勘違いしてしまうんだね」
「・・・・」
「調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」