税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

19.調査官が監査役の給与を否認するって言う

今日の調査立会いはウェブサイトの運営会社。

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バイト求人などの人材系サイトがメインです。

 

もともと情報システム学科の仲間が集まって始めた会社で、今でも大学のサークルのような雰囲気です。

社長もゾゾの前澤さんのような感じだし。

 

「くらら先生。『FGO』やってる?」

うーん・・・忙しくて、なかなか時間がね。

 

「先生がハマりそうなゲーム教えてあげますか?美肌にもいいやつ」

美肌?ウソでしよ?

 

相変わらず、調子がいいというか、元気ですね。

・・・いいことです。

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

何だかオタクっぽい調査官。

目を落として会話してるし。

社長にゲーマーとゲームオタクの違いを語りはじめた。

だから自分はゲーマーなんだって。

 

おや、最初と違う。表情も明るくなって、イキイキしてきた。

やっぱりオタクなのかな。

 

でもこういうヒト、結構やり手なことが多いんだってね。

 

しっかり対応しなければ。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「非常勤の監査役の給与は事前確定給与届出が出ていないので、損金にならないと言われました。

調査官の指摘はこうです。

 

役員に対して給与を年1回支給する場合は、税務署に前もって「事前確定届出給与」の届出をしなければ損金になりません。

貴社は非常勤の監査役に対して年1回給与を支給していますが、この届出をしていません。

よって、この給与は、損金にできません。

 

「役員給与の支給状況を確認していませんでした。

私のミスです」

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「役員の給与は、毎月同額の支給でなければ損金にならないのが基本です。いわゆる定期同額給与というものです。

ですから、夏冬などの役員賞与は、損金にならないことになります。

ただこの場合「事前確定届出給与」の届出書を提出していれば、損金にできる制度があります。

非常勤の役員などに年1回所定の時期に支給するようなものも、同様ですね」

 

「それは・・・基本的なことですから、理解してます」 

 

「・・・ところで、そもそもこの法人は同族会社だったっけ?」

 

「あれっ...そうでした。

大学仲間が皆んなで出資して作った会社で、非同族でした」

 

「であれば、税務署への届出なしで損金になります。「事前確定届出給与」が必要なのは同族会社の場合です。

要するに、定期給与を支給しない非常勤役員に対して、たとえば12月の年1回給与を支払う定めがあるような場合、非同族会社であれば、問題はないということです。

 

中小企業は同族会社が多いので、つい勘違いしてしまうんだね」

「・・・・」

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★