今日の調査立会いはガラス工芸の会社。
ガラス細工の体験工房もやっています。
社長は一見芸術家風だけど、全くのフツーのおじさんです。
「この新作、ステキでしょ」
本当の芸術家は、社長の奥さん。芸大を志望していた時期もあったらしい。
いつもお洒落な奥さん。
今日のイヤリングはルビー色のとんぼ玉ですか。
ミステリアスな容姿にとても似合って、素敵です。
私がいただいた、透明感のあるとんぼ玉リング、今も大事にしてますよ。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
いやー、ひどいのが来ましたね。今時こんな署員いるんだ。50代後半の上席。
奥さんに向かって、『かあさん』はないでしょう。
それも何度も。
あーあ、奥さんの目が釣り上がってる。完全にお怒りです。
ただでさえ、気位の高い人なんたから。
大ごとにならなければいいんだけど。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「奥さんの妹さんが経理を担当しているのですが、その給与を否認すると言われました。
調査官の指摘はこうです。
『 妹さんは、ここ1年は週2回しか出勤していない。
使用人の給与は、原則損金になるが、役員の親族の給与が不相当に過大であれば、損金不算入となる。
週2回勤務の社員への給与としては、不相当に高額である』
小さい子がいるので自宅で会計入力しているのですが、確かに毎日出勤している社員と同等の給与というのは・・・。
私のミスです」
「経理担当は他にもいる?」
「以前は奥さんも手伝ってましたが、今は商品の開発と製作で手が回りません。
妹さんがほとんど一人で、証憑の整理から会計入力、帳簿作成まで行なっています。
在宅での作業が中心にはなりますが。
この事実については、調査官は認めてくれています」
「給与関係の資料を見せて下さい」
・・・5分後
「使用人の給与が問題になるのは、その使用人が役員の親族のときではあるけど、
不相当に高額かどうかは、
その使用人の職務内容、その法人の収益、他の使用人の給与の支給状況、類似法人の使用人給与の支給状況等を総合勘案して判断するのであり、
出勤日数のみで判断するのではなく、ましてや、調査官の主観によるものではない。
そもそも在宅勤務だってありの時代です。
この規模の会社の経理担当者がもらう給与として、あるいは他の状況を勘案しても、
この金額は常識的な金額です。
不相当に過大と指摘する根拠は全くありません」
「・・・・」
「調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」