今日の調査立会いは中古車販売の会社。
新車ディーラーの営業マンだった社長。
腰が低く、笑顔がステキな40代....。
でも昔はヤンキーやってたそうです。
今の姿からは想像つかないけど、業界にはこういう人結構いるみたい。
大事なことは、いかにお客さんのニーズにあった車を揃えられるか、なんだって。
今も、社長自らが現車オークションに行って、仕入れしている。
「どうです、これカッコ良くない? 格安にしときますよ」
私に勧めるこの派手な色のベンツ、私に似合うわけない。
だいたい、これは売れ残りでしょ。
かなり前から在庫になってるの知ってますから。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
気弱そうな調査官。店舗から一番遠いスペースに車を止めたものね。
シルバーのニッサンキューブ。
車も地味だわー。
あ、これ役所の車だよね。たぶん。
おや、
早速、調査開始ですか。元帳をめくってる。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「消費税の課税売上割合の計算誤りです。
調査官の指摘はこうです。
『 中古車を販売したさいの、自動車リサイクル預託金*1の譲渡は非課税売上であり、消費税の課税売上割合の計算上、分母にのみ入れて計算しなければならない。
その結果、課税売上割合は95%を下回るので課税仕入れ金額の全額控除はできない』
中古車販売では必ずリサイクル預託金の譲渡が伴います。
これが非課税取引になるとは考えていなかったので、課税売上割合の計算に入れてませんでした。
私のミスです」
「・・・そんなに違いがでる?、
計算書を見せて下さい」
・・・数分後
「リサイクル預託金の100%を分母に入れるという指摘なの?」
「そうです。その計算では、確実に課税売上割合は95%を下回ります」
「その解釈は違ってるね。リサイクル預託金の譲渡は、有価証券の譲渡と同じで例外規定があるんだよ。
課税売上割合の計算上、譲渡額の全額ではなく、5%のみ課税売上割合の分母に入れることになってるんだね。
リサイクル預託金は金銭債権になるけど、その譲渡は、平成26年の改正で、5%となったんだよ。
再計算しても課税売上割合は95%以上だから、課税仕入は全額控除して問題ないよ」
「・・・・」
「調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」
*1:車を廃棄処分する際に必要となる費用を、新車購入時にあらかじめ支払うことが法で定められており、この費用をリサイクル預託金という。