税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

14.調査官が課税売上割合違うって言う

今日の調査立会いは中古車販売の会社。

f:id:rarara0001:20190912193807j:plain

 新車ディーラーの営業マンだった社長。

腰が低く、笑顔がステキな40代....。

でも昔はヤンキーやってたそうです。

今の姿からは想像つかないけど、業界にはこういう人結構いるみたい。

 

大事なことは、いかにお客さんのニーズにあった車を揃えられるか、なんだって。

今も、社長自らが現車オークションに行って、仕入れしている。

 

「どうです、これカッコ良くない? 格安にしときますよ」

私に勧めるこの派手な色のベンツ、私に似合うわけない。

だいたい、これは売れ残りでしょ。

かなり前から在庫になってるの知ってますから。

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

気弱そうな調査官。店舗から一番遠いスペースに車を止めたものね。

シルバーのニッサンキューブ。

車も地味だわー。

あ、これ役所の車だよね。たぶん。

 

おや、

早速、調査開始ですか。元帳をめくってる。

・・・・・

調査開始   

 f:id:rarara0001:20190915120228j:plain

調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「消費税の課税売上割合の計算誤りです。

 

調査官の指摘はこうです。

  中古車を販売したさいの、自動車リサイクル預託金*1譲渡は非課税売上であり、消費税の課税売上割合の計算上、分母にのみ入れて計算しなければならない。

その結果、課税売上割合は95%を下回るので課税仕入れ金額の全額控除はできない

 

中古車販売では必ずリサイクル預託金の譲渡が伴います。

これが非課税取引になるとは考えていなかったので、課税売上割合の計算に入れてませんでした。

私のミスです」

f:id:rarara0001:20190616191220j:image

 

「・・・そんなに違いがでる?、

計算書を見せて下さい」

 

・・・数分後

「リサイクル預託金の100%を分母に入れるという指摘なの?」

 

「そうです。その計算では、確実に課税売上割合は95%を下回ります」

 

「その解釈は違ってるね。リサイクル預託金の譲渡は、有価証券の譲渡と同じで例外規定があるんだよ。

課税売上割合の計算上、譲渡額の全額ではなく、5%のみ課税売上割合の分母に入れることになってるんだね。

 

リサイクル預託金は金銭債権になるけど、その譲渡は、平成26年の改正で、5%となったんだよ。

再計算しても課税売上割合は95%以上だから、課税仕入は全額控除して問題ないよ」

「・・・・」

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

*1:車を廃棄処分する際に必要となる費用を、新車購入時にあらかじめ支払うことが法で定められており、この費用をリサイクル預託金という。

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★