税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

18.調査官が中小企業倒産防止共済の前納掛金にケチつける

今日の調査立会いは葬儀屋さん。

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 「おっはー!

先生、今日は頼んだよー」

 

社長の奥さん、

いつも明るく賑やかで、辛口の物言いもする、大阪のおばちゃんって感じの人。

 

葬儀の司会者としても結構評判がいいらしいけど、

この人が真面目な顔してやってるかと思うと...。

不謹慎だけど笑っちゃいそう。

 

そんな憎めない奥さん。

調査官に変なこと言わないでね。

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

ボウズ頭の調査官。筋トレが趣味なんだって。

スリム体型だけど、しっかりと筋肉はありそうな感じ。

 

「奥さん、仏壇屋からのリベート収入、年間どのくらいあります?」

 

いきなり、真正面から聞いてきた。

この調査官、たぶん相手の反応を見てるんだろうなー。

 

しっかり対応しなければね。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「前納した中小企業倒産防止共済の掛金は、当期の損金にならないとのことです。

 

調査官の指摘はこうです。

 短期前払費用は、支払った日から1年以内に役務の提供を受ける場合には、その支払った事業年度の損金になります。

この短期前払費用は、継続的な支払を前提条件とするもので、貴社はこの継続要件を充たしていません。

よって、前納した掛金は短期前払費用の適用はなく、当期の損金にできません

 

「期末処理のチェックが不足してました。

私のミスです」

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「中小企業倒産防止共済は、掛金が全額損金になり、一定期間加入すれば解約しても全額が返ってくるという使い勝手のよい制度です。

本来の目的は、取引先の倒産により資金繰りが苦しくなったときに借入ができるということなのですが。

 

この共済掛金の前納分は、租税特別措置法の特例により、前納分であっても期間対応させることなく、掛金を現実に支払った事業年度の損金とするとされています。

この規定には継続適用の要件はありません。

 

誤解があるようですが、短期前払費用の適用により当期の損金にしているわけではありませんので、その年その年で変えても構わないのです。

 

前納した掛金は当期の損金となりますので、全く問題ありません」

「・・・・」

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★