税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

11.調査官が造作の耐用年数違うって言う

今日の調査立会いはアパレルの会社。

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ラルフローレン系ブランドのオンリーショップを開いています。

ショップは、ニューヨーク五番街にあるような、お洒落な路面店舗です。

 

マスコミにも取り上げられ、業績はすこぶる順調。

2号店も昨年オープンしました。

 

「オーナーは、今週不在です」

えー、ほんと?

海外出張ですか。こんな時に。

それも、ミラノのバイヤーのところなの?

うちの扱いはアメリカントラッドじゃなかったの。

 

 調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

温厚そうな30代くらいの調査官。

家では家事も育児も手伝う、イクメンパパって感じ。

何となく安心。場もなごやかですね。

 

でも、どうなのかなー。ラルフローレンも知らないなんて。

業界のこと勉強してきたの。

もしかして決算書の数字を並べるだけの経営分析で満足してる?

ここは、学校じゃないんですよ!

 

ごめんなさい。エラそうでした。

所長の言葉の受け売りでした。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「店舗の造作の耐用年数が違っているので、減価償却の超過額がでると言われました。

 

調査官の指摘はこうです。

当社が賃借している店舗建物の内部造作のうち、間仕切りについては、

建物付属設備で耐用年数15年としているが、取り外しが可能なパネル式のようなものではなく、コンクリート造であることから、建物として償却すべきである。

よって、耐用年数は39年が相当である

 私のミスです。

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「なるほど指摘どおりかも。一連の資料を見せて下さい」

 

・・・5分後

「たしかに、この造作は建物として償却すべきだね。

ただ、この建物については、賃借期間が15年という定めがあって、更新できないことになってるね。さらに、有益費の請求や買取請求をすることができない約定だね。

このような建物については、その賃借期間を耐用年数とすることができるんだよ。

 

結果として耐用年数15年が正しいので、

減価償却の超過額はでないね」

「・・・・」

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★