今日の調査立会いは地方の信用金庫。
この信金には、素晴らしい理事長秘書さんがいます。
段取りや手配は完璧で、どんなことでも笑顔で瞬時に対応してくれます。
「すぐにご用意いたします」
「整えてございます」
もちろん周りへの細かい気遣いも忘れません。
飛びっきりの美人ではないけれど、気品があって、輝くような笑顔が素敵なアラフォーの女性です。
本物の秘書さんって、ほんとカッコいいですね。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
国税局調査部の二人。
善人そうな主査と、元気な調査官。
さっき、秘書さんと一緒にお迎えしたんだけど、主査はどうも秘書さんが気になるみたいで...。
秘書さんの笑顔に魅了されちゃったのかなー。
なんか和やかな雰囲気でいい感じ。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「貸倒損失の否認です。
調査官の指摘はこうです。
『 回収不能として貸倒損失に計上した金銭債権のうち、一部回収の見込みがあるにもかかわらず事実を誤認したものや、全額を回収不能と判断するには根拠がないものがある。
回収不能の貸倒れとするためには、債権の全額が回収不能でなければ、貸倒損失は認められない』
経理部長によれば、
会計と税務の貸倒損失計上の時期には大きな差異があり、その判断が難しいのは経営陣も理解しています。
ただ、否認金額が多額になると、理事会での説明が難しく責任問題になるとのことです。
部長の抗弁でかなり認めてもらいましたが、それでも結構な額。
貸倒損失の判断は、その金融機関独自の特殊事情があるので、信金の判断に任せざるを得ませんが、税理士としてもっと的確なアドバイスをすべきでした。
私のミスです」
「法人税法で認める貸倒損失は、かなり厳しく限定的で、会計上の判断とは相当異なります。
ただ、事実認定の問題なので、信金側が納得出来る指摘であれば、それはやむを得ないでしょう。
指摘された貸倒損失の明細を見せて下さい」
・・・数分後
「借り手が法的整理に入ってたり、手形交換所の取引停止となっている債権ばかりだね。
こういう債権は、最終的には、ほとんどが回収出来ないのが実態なんだけどね。
それは別として、このような債権の貸倒損失は、否認されても個別評価金銭債権の貸倒引当金の繰入れとして、50%の損金算入が認められるんだよ。
だから、否認額は半分になるね。
調査官、そう言ってなかった?」
「あれま⁉️」