今日の調査立会いは日本酒の造り酒屋。
創業100年の老舗ですが、何度か廃業の危機がありました。
今の社長は杜氏でもある、先代の一人娘の莉乃さん。
あの指原と同じ名前で、
「全然似てないわよ」
って言うけど、ゼッタイ意識してますね。
メイクのせい?やっぱりなんか似てる。
年齢はかなり上だけどね。
酒蔵のみんなで踊った『恋チュン』、ちょっと前にネットで見たけど、なかなかいい感じです。
先日の新酒鑑評会での金賞、おめでとうございます。
調査が終わったら、これで一杯やるんだってね。
楽しく飲めるように、私も立会い頑張ります。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
なんかオドオドした感じの、真面目そうな調査官。
申し訳ないけど、地味なルックスで30は超えて見えます。
でも、役職は事務官だから若いはず。
調査経験そんなにないんでしょう?
最近多いよね、若い調査官。
所長が言うには、ベテランがたくさん退職して今は過渡期で、指導する統括官も大変なんだって。
私の立場では、怖い人より歓迎ですが。
でも本当は、厳しくないと、経営者が税理士の言うことを聞かなくなるので、それも困るんですけどね。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「社員に配った創業記念品の取得費を、消費税の課税仕入れにしていました。
調査官の指摘はこうです。
『 当社が創業記念に際し、その記念として社員に支給したガラス食器はその価格が1万円を超える高価なものなので、社員への現物給付として、給与所得になる。
給与は消費税では不課税取引なので、当然課税仕入れはできない』
金額からみて課税しない経済的利益とはならないので、社員への給与として源泉の対象としていましたが、消費税については、特別な指示をしていませんでした。
私のミスです」
「当社が、創業100周年を迎えて記念式典を行ったのは知ってます。
実は、私も式典に呼ばれてましたので。
社員に配った創業記念品というのは何?」
「江戸切子の冷酒杯でした。蔵のマークが入った立派なものです。
現物給与として給与課税にしてはいたのですが・・・」
「大丈夫。くらら先生の処理で何も問題ないね。
仕入控除の対象かどうかは、
その支給が給与となるかとは関係がなくて、
その支給した資産の取得が、消費税法上の課税仕入れになるかどうかで判定することになる。
今回の場合、法人の事業としての資産の購入であるから、仮に現物給与として源泉の対象となった場合においても、仕入控除の対象になるんだよ」
「・・・・」
「調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」