税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

13.調査官が創業記念品を否認するって言う

今日の調査立会いは日本酒の造り酒屋。

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創業100年の老舗ですが、何度か廃業の危機がありました。

今の社長は杜氏でもある、先代の一人娘の莉乃さん。

あの指原と同じ名前で、

「全然似てないわよ」

って言うけど、ゼッタイ意識してますね。

メイクのせい?やっぱりなんか似てる。

年齢はかなり上だけどね。

 

酒蔵のみんなで踊った『恋チュン』、ちょっと前にネットで見たけど、なかなかいい感じです。

 

先日の新酒鑑評会での金賞、おめでとうございます。

調査が終わったら、これで一杯やるんだってね。

楽しく飲めるように、私も立会い頑張ります。

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

なんかオドオドした感じの、真面目そうな調査官。

申し訳ないけど、地味なルックスで30は超えて見えます。

でも、役職は事務官だから若いはず。

調査経験そんなにないんでしょう?

 

最近多いよね、若い調査官。

所長が言うには、ベテランがたくさん退職して今は過渡期で、指導する統括官も大変なんだって。

 

私の立場では、怖い人より歓迎ですが。

でも本当は、厳しくないと、経営者が税理士の言うことを聞かなくなるので、それも困るんですけどね。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「社員に配った創業記念品の取得費を、消費税の課税仕入れにしていました。

 

調査官の指摘はこうです。

当社が創業記念に際し、その記念として社員に支給したガラス食器はその価格が1万円を超える高価なものなので、社員への現物給付として、給与所得になる。

給与は消費税では不課税取引なので、当然課税仕入れはできない

 

金額からみて課税しない経済的利益とはならないので、社員への給与として源泉の対象としていましたが、消費税については、特別な指示をしていませんでした。

私のミスです」

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「当社が、創業100周年を迎えて記念式典を行ったのは知ってます。

実は、私も式典に呼ばれてましたので。

 

社員に配った創業記念品というのは何?」

 

江戸切子の冷酒杯でした。蔵のマークが入った立派なものです。

現物給与として給与課税にしてはいたのですが・・・」

 

「大丈夫。くらら先生の処理で何も問題ないね。

 

仕入控除の対象かどうかは、

その支給が給与となるかとは関係がなくて、

その支給した資産の取得が、消費税法上の課税仕入れになるかどうかで判定することになる。

 

今回の場合、法人の事業としての資産の購入であるから、仮に現物給与として源泉の対象となった場合においても、仕入控除の対象になるんだよ」

「・・・・」

「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★