税理士くららの『あれま⁉️』日誌

プロ仕様の税金物語。税理士くららのファンタジーワールドへようこそ。 税務のプロも悩むニッチな事例を集めた実務に役立つショートストーリーです。

★新人税理士が税務調査に立会います★

17.調査官がパソコンの耐用年数違うって言う

今日の調査立会いは産業機械の精密部品を作ってる会社。

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世界規模のシェアを誇る、知る人ぞ知るメーカーです。

 

経理課の皆さん。

本日の税務調査、準備のほうは万全でしょうか。

なんかバタバタしてるように見えますが。

 

プロジェクターにスクリーン?

会社概況を、これで調査官に説明する?

プレゼンじゃないんだから、ここまでしなくてもいいと思うけどね。

 

ここの事務方は昔から優秀な人ばかりだから、大丈夫だね、きっと。

 

 

調査官が(来た!)

 

「おはようございます。

今日はよろしくお願いします」

 

国税局調査部の人が五人。どの人もバリバリ中堅職員という感じ。

そこそこ大きな会議室だけど、圧迫感が満ちてます。

 

ほー、さすが、相当勉強してきましたね、局の人。業界と業態を。

質問が高度で専門的ですね。

事務方じゃ答えられないような技術的なことまで聞いてる。

けど、そんなこと税務調査に必要なんでしょうか。

 

でも、ここはスタッフに任せて、黙ってよーっと。

・・・・・

調査開始   

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調査終了

・・・・・

くらら先生、事務所に戻る。

 

「所長、すみません。

非違の指摘を受けました」

「どういう内容?」

 

「去年一新したパソコンの耐用年数が違ってました。

 

調査官の指摘はこうです。

 電子計算機の耐用年数を4年として償却しています。

たしかにパソコンの法定耐用年数は通常4年ですが、サーバーなんかは5年になります。

貴社の取得したもので金額の大きなものは、サーバーやワークステーションです。よって、耐用年数は5年ですから、4年は誤りです。

減価償却費の超過額が生じます

 

「単純なところのチェックが不足してました。

私のミスです」

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 「ここは、グループ法人も多いし、海外取引もかなりあるから、調査項目の範囲は広いよね。国際税務調査官も来てたって?

複雑な取引については、時間をかけて監査をするんだが、単純なミスを見落とすことはままあるもんだ。

特に今回は経理スタッフも大幅に変わっているしね。

 

会計システムも今回自社開発したんだっけ?

固定資産の管理システムも相当変えたと聞いてるよ。

 

指摘された減価償却の明細を見せて下さい」

 

・・・数分後

「これはシステムに重大なケアレスミスがあるかもね。

見てごらん。

何と、耐用年数4年の償却率が5年と同じ0.400になってるね。

(正しい4年の償却率は0.500)

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明らかにシステムの作成誤りだね。

 

だから、耐用年数を4年としたのは誤っていたけど、償却率は0.400を適用していたから(結果として正しく)結局のところ増差はないという…何とも想定できないことになってしまった。

 

調査官は、そこまで確認してなっかたようだね」

 「・・・・」

 「調査官、間違ってるね」

 

「あれま⁉️

 

  

★当サイトのストーリーは、架空の題材によるフィクションです★