今日の調査立会いは産業機械の精密部品を作ってる会社。
世界規模のシェアを誇る、知る人ぞ知るメーカーです。
経理課の皆さん。
本日の税務調査、準備のほうは万全でしょうか。
なんかバタバタしてるように見えますが。
プロジェクターにスクリーン?
会社概況を、これで調査官に説明する?
プレゼンじゃないんだから、ここまでしなくてもいいと思うけどね。
ここの事務方は昔から優秀な人ばかりだから、大丈夫だね、きっと。
調査官が(来た!)
「おはようございます。
今日はよろしくお願いします」
国税局調査部の人が五人。どの人もバリバリ中堅職員という感じ。
そこそこ大きな会議室だけど、圧迫感が満ちてます。
ほー、さすが、相当勉強してきましたね、局の人。業界と業態を。
質問が高度で専門的ですね。
事務方じゃ答えられないような技術的なことまで聞いてる。
けど、そんなこと税務調査に必要なんでしょうか。
でも、ここはスタッフに任せて、黙ってよーっと。
・・・・・
調査開始
調査終了
・・・・・
くらら先生、事務所に戻る。
「所長、すみません。
非違の指摘を受けました」
「どういう内容?」
「去年一新したパソコンの耐用年数が違ってました。
調査官の指摘はこうです。
『 電子計算機の耐用年数を4年として償却しています。
たしかにパソコンの法定耐用年数は通常4年ですが、サーバーなんかは5年になります。
貴社の取得したもので金額の大きなものは、サーバーやワークステーションです。よって、耐用年数は5年ですから、4年は誤りです。
減価償却費の超過額が生じます』
「単純なところのチェックが不足してました。
私のミスです」
「ここは、グループ法人も多いし、海外取引もかなりあるから、調査項目の範囲は広いよね。国際税務調査官も来てたって?
複雑な取引については、時間をかけて監査をするんだが、単純なミスを見落とすことはままあるもんだ。
特に今回は経理スタッフも大幅に変わっているしね。
会計システムも今回自社開発したんだっけ?
固定資産の管理システムも相当変えたと聞いてるよ。
指摘された減価償却の明細を見せて下さい」
・・・数分後
「これはシステムに重大なケアレスミスがあるかもね。
見てごらん。
何と、耐用年数4年の償却率が5年と同じ0.400になってるね。
(正しい4年の償却率は0.500)
明らかにシステムの作成誤りだね。
だから、耐用年数を4年としたのは誤っていたけど、償却率は0.400を適用していたから(結果として正しく)結局のところ増差はないという…何とも想定できないことになってしまった。
調査官は、そこまで確認してなっかたようだね」
「・・・・」
「調査官、間違ってるね」
「あれま⁉️」